
むかし、アラブの商人が、羊の胃袋を干してつくった皮の水筒にミルクを入れ、ラクダに揺られて砂漠の旅に出かけました。
日が暮れ、疲労と喉の渇きを癒そうと、水筒を開けると驚くことに、中からはミルクではなく、澄んだ水と柔らかい白い塊が出てきました。
恐る恐るその塊を口に入れてみると、それは甘くて、素晴らしい風味でした。
という有名な民話が残っています。
水筒の中のミルクが、アラビアの砂漠の高温下でラクダに揺られ攪拌されて、羊の胃袋から滲み出た「レンネット」と呼ばれる凝乳酵素により、凝固作用を起こしてチーズができたというわけです。
まさに、この話の中に出てくる透明の水が「乳清(ホエイ)」で、白い塊が「凝乳(カード、チーズ)」なのです。
こうしたチーズの作り方は、トルコ、ギリシャ経由でイタリア、フランス、スイスからヨーロッパ各地へ渡りました。
またパキスタン、インド、モンゴルや中国へシルクロードに沿って発展していったと伝えられています。