古代の生活の中で、土器の中に備蓄してあった「命の水」とも言える貴重な乳が、偶然に混入した野生の微生物の働きによって、液体から白く美しい固まり(カード)と液体(ホエー)に分離することを発見し、これがチーズの始まりだったと思われます。
硬質チーズの「ホロート」は、モンゴルを代表するもので、低脂肪・高たんぱくで栄養価が高く、しかも長期保存もできるという優れものです。
それゆえ、モンゴル族の騎馬軍団が西アジアから東ヨーロッパを含む大モンゴル帝国を築き上げた背景には、このチーズが重要な役割を果たしたと考えられています。
ギリシャでは神話の時代から長い歴史を持つ「フェタ」という有名なチーズがあります。
羊乳主体で作られたフレッシュタイプのチーズを塩漬けにしたもので、かなり塩度が高くそのままでは食せないほどのものです。
南イタリアではローマ帝国の時代から作られている「ペコリーノ・ロマーノ」で羊乳から作られる超硬質チーズとして有名です。
暑いローマの気候に耐えられるようにとこちらも塩味が強めです。
北イタリアのロンバルディア地方においては、牛の乳を使った「パルミジャーノ・レッジャーノ」や「ゴルゴンゾーラ」などの原型にあたるチーズが作られていたようです。
フランスの最古のチーズは、こちらも大変有名な羊乳で作られる「ロックフォール」で、青カビチーズの中でも一番塩分量が多いタイプです。
また、アルプスを源流とするポー川流域においては、水牛の乳から作る「モッツァレラ」のチーズが生まれました。
これらのチーズの共通点と言えば、羊乳と塩辛さです。
家畜の中でも気性の温和な羊が選ばれて搾乳され、冷蔵をするような設備が無い時代であったために、塩を強めにして、保存性を高めてチーズを作っていたのでしょう。